住宅本2015秋
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135 自 然素材と職人の技がつくりだす、 心と体に優しい快適な空間  化学物質に敏感なSさんの希望は、天然素材 を使った家づくり。かつ、奈良の町家をほうふ つさせる古民家で、時代物の建具も使って、さら にバリアフリーで…。「そんなワガママをかな えられるのはウチしかない!」という匠の意気 込みで始まった家づくり。  「仕事から早く帰りたいと思える、ゆっくり 休める家にしてほしかった」というS さん。 自分の癒やしだけではなく、将来的には地域で の福祉活動の場としても活用することを視野 に入れておられます。そのため、天然素材に こだわるだけでなく1 階、2 階ともバリア フリー設計を採用。外壁の一部には、匠が取り 組む「かごしま土壁再生プロジェクト」の技術 を生かした土壁も使われています。  「以前住んでいたマンションは、梅雨時期は 湿気によるカビで悩まされていましたが、 この家では、雨の多かった今年でさえ湿気を 感じることはありませんでした。真夏もクー ラー1 台で快適に過ごせたので、電気代も かなりおトクでした」と住み心地の良さにも 大満足の様子です。  「仕事もハードなので、以前の家では自宅に 友人を呼ぶことも少なかったのですが、この 家はおしゃれな居酒屋さんみたい、と友達も よく集まるようになって楽しい時間を過ごし ています」。近くを通る人の目を和ませ、訪れ る人をくつろがせてくれる「結い」の家は「平 成 26 年度建築研究所すまいづくり表彰 地域 住宅奨励賞 住宅部門」を受賞しました。 吹き抜けになった小屋現しの天井はレトロな風情と開放感を与えます。造作の 雰囲気も大正時代の建具に合わせました 石張りの三和土と杉張りの天井、杉材の下駄箱など和風の趣が出迎えてくれる 玄関。緩やかなスロープもしつらえています 大正時代の模様入り色ガラスを使ってリビングとの間を仕切る目隠しのガラス戸 にしました リビングから小上がりになった和室。収納もできる掘りごたつは、訪れる皆のお気に 入りです 縦格子を強調した町家の趣を醸す2階建て。街並みに風情を与える「和」のデザ インです A A B C D B C E 幸せな家づくり2015 Autumn・Winter from Editor 古民家の良さを再現し、現代的な快適性を付加した理想的な 家。福祉活動に開放されるというSさんの志とこだわり、それを 実現する匠さんの技も素晴らしいです。 プランニングコンセプト 1F 地域の憩いの場、高齢者や障害を持つ人たちのコミュニティー としての「結い」の場を提供することが前提でした。そこに美し い和の風情と目に見えない耐震・温熱環境、受け継がれてきた 技法と新しいデザイン…全て融合して出来上がった「結い」の 家です。 株式会社 建築工房 匠 福迫 健さん D E 土壁を塗り、屋根や梁(はり)を現しにし、造作 にもこだわったため、大工や左官といった職人た ちの熟練の技を要しました。私たちの持てる技 を精いっぱい提供させていただきました。

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